日本繁殖生物学会 講演要旨集
第103回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-70
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生殖工学
ブタ単為発生2倍体の胚盤胞におけるClaudin-4の役割
*許 尚丹三宅 正史
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抄録
【目的】胚盤胞の栄養外胚葉(TE)は哺乳類では最初に現れる上皮組織で,TE上のタイトジャンクション(TJ)は胚盤胞形成に重要である。マウスの胚盤胞では,TJのシーリングタンパク質であるclaudin-4が重要な役割を持つことが明らかになっている。本研究では,単為発生2倍体を使ってブタ胚盤胞におけるclaudin-4の役割について検討した。【方法】ブタ卵胞から採取した卵母細胞を10% FCSを含むmTCM199で成熟培養し,電気刺激およびサイトカラシンB処理により単為発生2倍体を作成した。活性化72時間後,透明帯を除去した後期4細胞期にclaudin-4に対するsiRNAをトランスフェクションした。電気刺激144時間後までPZM-3で培養し,発生率と胚盤胞の細胞数を調べた。つぎに,GFP融合claudin-4 mRNAを体外合成し,単為発生2倍体の1細胞期に注入した。claudin-4の過剰発現を誘導した2倍体を168時間培養し,発生率と胚盤胞の細胞数を調べた。培養後の胚盤胞をマウス抗claudin-4モノクローナル抗体,ウサギ抗ZO-1ポリクローナル抗体を用いて免疫蛍光染色を行い,Hoechst 33342で核染色した。【結果】活性化72時間後の後期4細胞期からclaudin-4をノックダウンしたところ,コンパクションおよび胚盤胞の発生率には影響は見られなかったが, siRNA区の胚盤胞の直径が未処理胚より大きく,形態的に乱れの少ない胚盤胞が多く見られた。胚盤胞の細胞数にも有意差がなかった。1細胞からclaudin-4を過剰発現させると,発生率に影響が認められなかったが,胚盤胞の細胞数が減少していた。ZO-1はいずれの実験区でも細胞間にベルト状に分布し,局在性に変化はなかった。【結論】ブタ単為発生2倍体では,claudin-4は胚盤胞の形成過程に重要な働きを持たないが,胚盤胞形成後の胚において,細胞増殖に関与しながら,重要な働きを持つことが予測された。
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© 2010 日本繁殖生物学会
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