日本繁殖生物学会 講演要旨集
第104回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-4
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卵巣
マウス卵母細胞特異的遺伝子Oog1のプロモーター解析
*石田 未弥岡崎 永里子塚本 智史木村 康二太田 有紀鬼頭 靖司今井 裕南 直治郎
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抄録
【目的】組織特異的プロモーターは遺伝子解析における有用なツールである。卵母細胞特異的プロモーターとしてはZp3およびGdf9プロモーターが成長期の卵母細胞で報告されているが、胎子卵巣内卵母細胞(シスト内卵母細胞)および原始卵胞内卵母細胞における特異的な活性を示すプロモーターは未だ報告されていない。本研究においては、卵母細胞において胎齢15.5日から特異的に発現する遺伝子Oog1の上流領域から胎子卵巣内卵母細胞中で転写活性を持つプロモーター配列の同定を目的とした。【方法】ゲノム上に存在する5コピーのOog1遺伝子の上流配列から長さの異なる2種類のプロモーター候補配列(2.7 kb,および3.9 kb)を単離した。これらの候補配列の下流にGFP遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えマウスを作製し、卵母細胞におけるGFPの発現解析に基づくプロモーター活性の評価を行った。【結果】2種類の配列を用いた遺伝子組換えマウスの成体卵巣の凍結切片を作製し、GFPシグナルを観察した結果、2.7 kbの配列を用いた組換えマウス系統ではGFPのシグナルは2次卵胞以降の卵胞内卵母細胞で検出された。一方3.9 kbの配列を用いた系統においては1次卵胞以降の卵胞内卵母細胞でシグナルが検出され、2.7 kbの配列を用いた場合よりも強いプロモーター活性が観察された。また、卵巣のRT-PCRの結果、2種類の候補領域は共に胎齢15.5日の胎子卵巣でGFP mRNAの発現を誘導することが明らかとなった。3.9 kbプロモーターには2つのNobox Binding Elementが存在するため、これによってプロモーター活性が増強した可能性が考えられる。本研究によって明らかとなったOog1のプロモーター領域は胎子卵巣内卵母細胞において転写活性を示し、早期に発現を開始する卵母細胞特異的遺伝子の機能解析に有用である。また、その発現制御機構のさらなる解析によって生殖細胞特異的遺伝子の発現調節機構の解明に新たな知見をもたらすものと考えられる。
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© 2011 日本繁殖生物学会
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