抄録
【目的】ダイナミックなDNAメチル化の変化は哺乳類の個体発生、配偶子形成に必須なプロセスである。近年のタイリングアレイや次世代シーケンサーの普及により、ゲノム広範囲なメチル化プロファイル(DNAメチローム)が様々な細胞で解析されているが、生殖細胞における解析実績は極めて限定的である。本研究では、マウス精子・卵子のDNAメチロームマップとRNAトランスクリプトームマップを作成し、各配偶子におけるDNAメチロームの特性・遺伝子発現との関連性について解析した。【方法】C57BL/6マウス精巣上体尾部由来の精子、ならびにプールしたGV期卵子からゲノムDNA、トータルRNAを回収し、ショットガンバイサルファイトシーケンス用のDNAライブラリー、ならびにmRNA-seq用のcDNAライブラリーを作製した。それらをイルミナ社のGenome Analyzer II 、HiSeq 2000により大規模シーケンス解読を行い、DNAメチロームマップならびにトランスクリプトームマップを作製した。【結果】DNAメチローム解析の結果、精子はゲノム全体にわたり高メチル化状態(平均メチル化:86.3%)である一方、卵子では高メチル化・低メチル化状態に二分しており、全体として中程度のメチル化状態(44.5%)を示した。一方で、CpG密な領域:CpGアイランドの解析より、卵子で高メチル化な領域の数が精子で高メチル化な領域より多く、また、ゲノムインプリント制御領域における精子・卵子での明確なメチル化差異があることを確認できたと同時に、新規の732の卵子型メチル化差異領域(DMR)と69の精子型DMRを同定した。さらにトランスクリプトーム解析結果との比較において、マウス卵子においてmRNA転写量と遺伝子内のメチル化(Gene-bodyメチル化)に強い正の相関性が見られた。本発表では、配偶子におけるゲノムインプリント確立機構とGene-bodyメチル化との関わりについて、詳細なメチローム解析結果とともに報告する。