日本繁殖生物学会 講演要旨集
第105回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-71
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生殖工学
第2卵割抑制によるウシ体外受精由来4倍体胚の作製と体外発生能の検討
*大越 勝広池田 光美古澤 軌徳永 智之
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抄録

【目的】当研究室で樹立されたウシ胚性幹細胞(第103回本学会)のキメラ形成能の検討および胎盤への分化に問題が認められた体細胞核移植卵(第104回本学会)の着床補助などに有効利用が期待される4倍体胚の作製を目的に,第2卵割を抑制した作製法と体外発生能を検討した。【方法】食肉処理場より得られたウシ卵巣の小卵胞から採取した卵丘・卵子複合体を10%ウシ胎子血清,卵胞刺激ホルモン,エストラジール17βを添加したTCM199液で体外成熟培養後,体外受精に使用した。媒精開始から30時間目の2細胞期胚を用いて,サイトカラシンDによる分裂抑制によって4倍体の作製を試みた。まず,2.5μg/mlの濃度で処理時間を検討(0~24時間)し,ついで,処理濃度(0~12.5μg/ml)を検討した。サイトカラシンD処理後,サイトカラシンD無添加のIVD101液(機能性ペプチド研)で,5%CO2,5%O2,90%N2の条件で体外培養を継続した。体外培養後の胚盤胞への発生率,胚盤胞の細胞数および染色体数を計測した。【結果】0~24時間処理した卵子の20~100%が分裂を再開し,6~60%が胚胞へ発生したが,処理時間の増加にともなって有意に発生率が低下した(P<0.05)。染色体数により倍数性を調べた結果,6時間処理では82%が2倍体で,18%が4倍体だった。12時間処理では2倍体が14%,4倍体が50%であった。胚盤胞への発生率と倍数性から,2.5μg/mlで12時間処理を基本として,サイトカラシンD濃度の検討を行った結果,0~12.5μg/ml処理により85~100%の卵子が分裂を再開し,19~65%が胚盤胞へ発生した。以上の結果から,サイトカラシンDを2.5μg/mlで12時間処理することにより,ウシ4倍体胚の作製が可能であることが示された。

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© 2012 日本繁殖生物学会
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