日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-11
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精巣・精子
雄性生殖細胞に発現する新規カルシウム結合タンパク質EFCAB2の解析
*石川 祐川島 明弘木越 琢海加藤 祐希松田 学岡村 直道
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抄録

【目的】精子の受精や鞭毛運動にカルシウムイオンは重要な働きを担っており,精子内カルシウムシグナリングに関してはCatsperイオンチャネルなど様々なイオンチャネルが関与し精子内へのカルシウムイオンの流入が明らかにされているが,内部に流入したカルシウムイオンが細胞内でどのような経路を介して精子の鞭毛運動の変化や受精に関与しているのかは明らかにされていない。そこで本研究では精子に発現する新規カルシウム結合タンパク質と予想されるEFCAB2に着目し,その局在部位と機能の解析を行った。【方法】マウス精巣のデータベースを用いた解析からカルシウム結合タンパク質であるとEF-motif calcium binding protein 2 (EFCAB2)を予想した。その後,EFCAB2の組換えタンパク質を作製し,カルシウム結合タンパク質を検出するStains-allを用いたスペクトル解析により,EFCAB2のカルシウム結合の有無を調べた。また,精巣内でのmRNAの発現部位を調べるため,In situ hybridizationを行い,タンパク質の局在を調べるために免疫組織染色によりマウス精巣における発現と蛍光免疫染色により精子内での局在部位を明らかにした。【結果】EFCAB2発現タンパク質のStains-allによる染色とスペクトル解析により,EFCAB2がカルシウムを特異的に結合するタンパク質であることが分かった。抗マウスEFCAB2抗体を用いたマウス精巣・精子タンパク質のウェスタンブロッティング解析でEFCAB2は16kDaの単一のバンドとして確認できた。また,精巣内にてmRNAが円形精子細胞に強く検出され,さらに,免疫蛍光染色ではEFCAB2は精巣内の円形精子細胞に発現し,その一部は精子鞭毛に取り込まれていることが明らかになった。さらに,精巣上体尾部精子の鞭毛主部中片部に強いシグナルが観察できた。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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