日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-111
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生殖工学
発生培地へのL-CarnitineおよびEtomoxir添加がウシ体外生産胚の発生率に及ぼす影響
*高橋 利清ソムファイ タマス下司 雅也眞鍋 昇
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抄録

【目的】L-Carnitine(LC)は,体細胞内においてCarnitine palmitoyltransferase 1(CPT-1)の作用により脂質代謝に関与していることが知られている。我々は,ウシ体外生産胚の発生培地へのLC添加により,胚発生率および耐凍性が向上し,脂質代謝が促進されることを見出した。本研究では,CPT-1のインヒビターによるLCの効果を検証するとともに,LC添加培地の種類が胚発生に与える影響を検討した。【方法】食肉処理場由来のウシ卵子を用いて,成熟および体外受精(Day0)を行った。体外受精後に卵丘細胞を剥離し,38.5C,5%CO2,5%O2,90%N2の環境下で発生培養を行った。試験1では,LCあるいはCPT-1インヒビターであるEtomoxir(Et)の5%FCS加CR1aaへの添加が,また,試験2では発生培地にCR1aa,mSOFaa,m199を用いてLC添加の有無が,ウシ体外生産胚の胚盤胞期への発生率(Day8)に及ぼす影響を検討した。【結果】試験1における胚盤胞期への発生率は,EtとLC無添加(対照区:33.3%)と比較して,Etのみ添加(22.4%)で有意に低下し,LCのみ添加で43.9%と有意に高くなった。また,Et+LC添加では26.8%となり対照区と有意な差は認められなかった。試験2では,各培地による胚発生への影響は認められなかった。以上より,LCはウシ体外生産胚に対して,胚細胞のミトコンドリア内でCPT-1を介して作用することが示唆され,発育促進作用については培地の影響を受けないことが示された。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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