日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-26
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卵・受精
マウス始原生殖細胞におけるGSEタンパク質の発現解析
*守田 昂太郎畑中 勇輝清水 なつみ西原 卓志武本 淳史樋口 智香内堀 翔天野 朋子永井 宏平岸上 哲士加藤 博己三谷 匡細井 美彦松本 和也
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抄録

【目的】哺乳動物の初期胚や始原生殖細胞(PGC)では,ヒストン修飾やゲノムワイドなDNA脱メチル化に起因してエピジェネティックリプログラミングが起きる(Saitou et al., 2012)。これまで我々は,初期胚と生殖細胞で特異的に発現する新規遺伝子として同定したGonad-specific expression geneGSE)(Mizuno et al., 2006)が,受精卵の雄性前核で起こる能動的DNA脱メチル化に関与することを明らかにしている(Hatanaka et al., 2013)。しかし,PGC形成時のDNA脱メチル化でGSEタンパク質が果たす役割は明らかではない。そこで本研究では,GSEがPGCのDNA脱メチル化機構へ関与するかを明らかにするために,PGC形成過程でのGSEの発現プロファイルを検討した。【方法】マウスのPGC形成過程であるE7.5からE11.5の胚を供試してウェスタンブロット解析を雌雄でそれぞれ行った。次に,PGCのDNA脱メチル化時期でのGSEタンパク質の細胞内局在を明らかにするために,E9.5からE12.5の生殖腺の細胞を解離し,透過処理により細胞内の遊離タンパク質を除去後,免疫細胞化学染色を行った。また,5mCから5hmCへ変換が行われている細胞でGSEが発現しているか,及びPGCの能動的DNA脱メチル化に関与する酵素と共局在するかを明らかにするために免疫細胞化学染色により検討を行った。【結果】雄では,GSEはE7.5と比較してE9.5からE11.5にかけて発現量が有意に増加し,雌ではE7.5と比較してE10.5で発現量が有意に増加した。さらに,ほぼ全てのPGCでGSEが発現し,クロマチンに結合していることが認められた。また,5mCから5hmCの変換を示唆する細胞でGSEは発現し,PGCの能動的DNA脱メチル化に関与している酵素ともGSEは共局在した。以上の結果から,GSEはPGC形成過程におけるDNA脱メチル化に関与していることが示唆された。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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