日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-47
会議情報

内分泌
ラットGnRHおよびKNDy (キスペプチン,ニューロキニンB,ダイノルフィン)ニューロンに発現する受容体遺伝子の解析
*家田 菜穂子上野山 賀久美辺 詩織池上 花奈前多 敬一郎束村 博子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年,前腹側室周囲核(AVPV)および弓状核(ARC)に局在するキスペプチン(Kp)ニューロンがそれぞれGnRHのサージ状分泌とパルス状分泌を制御することが示唆されている。ARCのKpニューロンはニューロキニンB(NKB)およびダイノルフィン(Dyn)を共発現することからKNDyニューロンと呼ばれている。NKBはGnRH/LHパルスに対して促進的に,Dynは抑制的に作用することが報告されている。本研究では GnRHニューロン,KNDyニューロンおよびAVPVのKpニューロンに発現する受容体遺伝子を解析することにより,Kp,NKB,およびDynの作用点を同定することを目的とした。【方法】GnRHもしくはKpを蛍光タンパクにより可視化した遺伝子改変ラットからGnRHおよびKpニューロンを採取し,Gnrh,Gpr54(Kp受容体遺伝子), Tacr3(NKB受容体遺伝子),Oprk1 (Dyn受容体遺伝子),Kiss1(Kp遺伝子),Tac2 (NKB遺伝子)および Pdyn (Dyn遺伝子)がGnRHおよびKpニューロンに発現するかを解析した。【結果】GnRHニューロンにはGnrh および Gpr54が検出されたがTacr3 および Oprk1は検出されなかった。ARCのKNDyニューロンにはKiss1,Tac2,Pdyn および Tacr3 が検出されたが,Gpr54 および Oprk1は検出されなかった。AVPVのKpニューロンにおいては Kiss1 発現のみが認められ,他の遺伝子は検出されなかった。ポジティブコントロールとして用いたラット視床下部組織では,上記全ての遺伝子の発現が確かめられた。以上より,KNDyニューロンから分泌されるNKBは近傍のKNDyニューロンに作用し,Dynは近傍のnon-KNDyニューロンを介してKNDyニューロンの活動を制御し,KpはGnRHニューロンに発現するGPR54を介してGnRH分泌を制御すると考えられる。

著者関連情報
© 2013 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top