日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-7
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精巣・精子
マウス精子発生過程におけるFISH法による性染色体動態解析
*大高 康佑種村 健太郎
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抄録

【目的】Fluorescence in situ hybridization(FISH)法は染色体や間期核におけるある特定の塩基配列や遺伝子を検出するとともに,位置情報を得る手法として有用である。また,動物生産領域において性染色体の検出は性判定を行う有用な技術として知られており,実際に,初期胚や精子ではFISH法による性染色体の同定法は確立されている。しかし,精子発生過程における精細胞分化過程での性染色体動態については不明な点が多い。そこで,本研究ではパラフィン包埋精巣組織切片上における,FISH法の応用による性染色体動態解析を試みた。本手法の高度化から,従来注目されていなかった精子発生過程における性染色体の局在様式や数的異常などの容易な検出が期待できる。【方法】性染色体動態解析方法として,XおよびY染色体に対するFISH法による検出を行った。生後12週齢のC57BL/6雄マウスから摘出した精巣をメタカン液にて固定した後,常法に従い,パラフィン切片を作製し,マウスXY染色体DNAプローブ(X:biotin標識 Y:FITC標識)によるハイブリダイゼーションを行った。その際,精巣組織切片の前処理として抗原賦活化液による熱処理賦活化を行った。尚,Y染色体はシグナル強度を高めるためにanti-FITCとAlexa488 donkey anti-rabbit,X染色体はSterptavidin-Rhodamine,核染色にはHoechst33342を用いてシグナル検出をし,共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った。【結果】マウス精巣組織切片上でX 染色体,Y染色体,および細胞核の特異的蛍光シグナルが確認された。すなわち,本研究によってマウス精巣組織切片上の精細胞における性染色体局在動態が明らかとなった。本手法は精子発生過程における精細胞の性染色体局在状態や数的異常などの検出方法としても応用が期待できる。今後,異種への応用や幅広い分野を視野に入れた利用方法について検討したい。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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