日本繁殖生物学会 講演要旨集
第108回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-98
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生殖工学
Myostatin遺伝子をノックアウトしたブタクローン胚の発生能
*浅野 吉則饒 聖分松成 ひとみ中野 和明内倉 鮎子武石 透輝畑江 将太高柳 就子渡邊 將人梅山 一大藤村 達也長嶋 比呂志
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抄録
【目的】体細胞核移植法は遺伝子改変ブタの作出に有効である。本研究では,常染色体遺伝子である,Myostatin遺伝子(MSTN)をノックアウト(KO)した細胞から体細胞核移植法により作出したクローン胚の発生能を検証した。 【方法】Transcription activator-like effector nuclease (TALEN)を用いてMSTNをhomozygousにKOしたブタ胎仔繊維芽細胞をドナー細胞とした。NCSU23を基本とする培地を用いてブタ卵丘卵子複合体から体外成熟卵を得て,除核後,体細胞核移植のレシピエント卵とした。ドナー細胞とレシピエント卵の電気融合によって得られた核移植胚を,Scriptaid処理(15~18 h)後PZM-5中で7日間培養して,体外発生能を調べた。次に,作製した核移植胚を1–2日間培養後に,発情同期化したレシピエントブタの卵管内へ外科的に移植した。妊娠113日目に帝王切開を行い産仔を得た。 【結果】MSTN KO細胞由来核移植胚を体外培養した結果,正常分割率と胚盤胞形成率は80.2%(65/81),69.1%(56/81)であった。この成績は,従来より当研究室で得られている,Wild-type(WT)細胞由来胚の正常分割率および胚盤胞形成率(45/56,80.4%および34/56,60.7%)と同等であった。つぎに,発生培養1–2日後の核移植胚240個を2頭のレシピエントブタに移植したところ,6頭のクローン産仔が得られた(2.5%,6/240)。これらの産仔には肩や大腿部に筋肉の肥大が認められた。 【結論】TALENによりMSTN をhomozygousにKOしたブタ体細胞クローン胚は,WTクローン胚と同等な体外発生能を示し,さらに産仔への発達能を有することが明らかとなった。
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© 2015 日本繁殖生物学会
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