2009 年 4 巻 2 号 p. 135-146
自然斜面,人工斜面のいずれにおいても,通常斜面は三次元形状を有しており,そのような斜面の形状は安定性に大きく影響すると考えられる。また,すべり面の三次元形状は,二次元解析よりも得られる安定係数を増加させることが知られている。このような斜面やすべり面の三次元形状の効果は,斜面の安定解析,特に斜面強度の逆解析においては重要である。しかし,これらの効果は系統的に検討されていない。そこで,本研究では直線斜面,および三次元斜面として湾曲斜面を取り上げ,極限平衡法による三次元安定解析を行い,これらの形状効果について検証した。解析の結果,すべり面の三次元効果は得られる安定係数を大きくするだけでなく,すべり面の深さに臨界値を与え有意な安定係数が得られることが分かった。また,斜面の三次元効果によりすべり面の最大形状が決まり,その斜面形状における安定係数の最小値が得られることが分かった。これらの結果は,Terzaghiの二次元安定図表を三次元版にアップグレードする形で整理した。