日本繁殖生物学会 講演要旨集
第109回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-88
会議情報

生殖工学
ウシiPS細胞の樹立を目指したiPS細胞誘導ベクターとウシLIF発現フィーダー細胞の開発
*平出 美鈴熊谷 友希佐々木 玲福田 智一小林 正之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】本研究室では,ウシiPS細胞から卵子・精子を作り出し,無限の遺伝資源として恒久的に活用できる技術を開発することを目指している。本研究ではウシiPS細胞誘導ベクター,およびウシiPS細胞の未分化状態維持に必要であると推定しているウシサイトカインLIF(Leukemia Inhibitory Factor)を発現するフィーダー細胞の開発を試みた。【方法および結果】OCT4・SOX2・KLF4・NANOGを単一のベクターにより発現するウシOSKN発現ベクターと,ウシc-MYC・L-MYC・LIN28・GLIS1を個別に発現するベクターを構築した。構築したiPS細胞誘導ベクターの誘導活性を検証するために,iPS細胞へ誘導しやすいと考えられているマウス体細胞に導入した。その結果,開発したウシiPS細胞誘導ベクターは,マウスiPS細胞を誘導する活性を発揮することが示された。次に,ウシLIFを発現するフィーダー細胞を開発するために,ウシLIF発現ベクターを構築してマウス胎仔線維芽細胞株STO細胞に遺伝子導入した。培養上清についてウエスタンブロッティングにより解析したところ,LIFに相当するシグナルが明確に検出された。この培養上清を用いてマウスES細胞を培養したところ,未分化状態を維持する活性を有していることが示された。現在,これらの発現ベクターをウシ体細胞に遺伝子導入し,iPS細胞へ誘導する活性について検証している。

著者関連情報
© 2016 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top