日本繁殖生物学会 講演要旨集
第111回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-22
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卵巣
ウシ黄体細胞における LH 感受性とコラーゲンの関係
*丸尾 直奈羽柴 一久渡邊 大輔木村 康二
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抄録

【目的】黄体細胞は豊富な細胞外マトリックス(ECM)に取り囲まれていることが報告されており,黄体形成や血管新生において重要な役割を果たす。黄体の主なECMはⅠ型コラーゲンであるが,コラーゲンと黄体機能の関係について明らかではない。本研究では,ウシ黄体細胞のコラーゲンを用いた培養おける黄体機能について検討した。【方法】1)ウシ中期黄体細胞を単層プレート上(単層培養),Ⅰ型コラーゲン・ゲル上(コラーゲン・ゲル上培養),Ⅰ型コラーゲン・ゲル中(コラーゲン・ゲル包埋培養)で5日間培養した。培養後,対照区および黄体形成ホルモン(LH; 10 ng/ml)添加区を作成し24時間培養した。培養後のP4産生をenzyme immunoassayにより,LH-R mRNA発現を定量的RT-PCRにより測定した。2)コラーゲンにはゲルのような三次元構造とコラーゲン・コートのような二次元構造が存在する。これらの違いによる,黄体細胞のP4産生およびLH-R mRNA発現について検討した。ウシ中期黄体細胞を単層プレート上(単層培養),Ⅰ型コラーゲン・ゲル上(コラーゲン・ゲル上培養),Ⅰ型コラーゲン・コート培養皿上(コラーゲン・コート上培養)で5日間培養した。培養後,対照区および LH 添加区を作成し 24 時間培養した。培養後のP4産生および LH-R mRNA発現を測定した。【結果と考察】1)単層培養では,LH添加によるP4産生の増加は認められたが,コラーゲン・ゲル上およびコラーゲン・ゲル包埋培養では,LH添加による P4 産生の増加は認められず,LH-R mRNAの発現量は有意に減少した。2)コラーゲン・コート上培養においてLH添加によるP4産生の増加が認められたが,コラーゲン・ゲル上培養ではLH添加によるP4産生は増加しなかった。LH-R mRNA発現は,コラーゲン・ゲル上培養と比較して,コラーゲン・コート上培養において有意に高かった。以上の結果から,ウシ黄体細胞におけるLH感受性はコラーゲンの構造によって影響を受けることが示唆された。

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