日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: AW1-7
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内分泌
弓状核特異的Kiss1コンディショナルノックアウトラットを用いたGnRHパルスジェネレーターの同定
*長江 麻佑子後藤 哲平余郷 享子三宝 誠平林 真澄小林 憲太井上 直子束村 博子上野山 賀久
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抄録

【目的】性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)のパルス状およびサージ状の2つの分泌モードは,視床下部のキスペプチンニューロンによって第一義的に制御される。弓状核に局在するキスペプチンニューロンは,パルス状GnRH分泌を司るGnRHパルスジェネレーターであるとの説が有力であるが,実験的な証明には至っていない。本研究は上記の仮説を証明するため,弓状核特異的にキスペプチン遺伝子(Kiss1)をinducibleにノックアウト(KO)したラットを作製し,GnRHパルスおよびGnRHサージの指標となる黄体形成ホルモン(LH)の分泌動態を解析した。【方法】正常な性周期を示す成熟雌Kiss1-floxedラットの弓状核にCreリコンビナーゼ発現アデノ随伴ウイルスベクター(AAV-Cre)を投与した。投与2週間後に卵巣除去および低濃度エストロジェン(E2)を処置した。1週間後に無麻酔無拘束下で6分間隔3時間の頻回採血を行い,LHのパルス状分泌動態を解析した。翌日にLHサージを誘起する高濃度E2を処置し,2日後に10時から21時まで1時間間隔の採血を行い,LHの分泌動態を解析した。その後,低濃度E2を処置し,1週間後に灌流固定を行い,脳を採取し,視床下部におけるKiss1発現を解析した。また,下垂体におけるLH含有量を測定した。【結果】AAV-Creの弓状核への投与により,弓状核Kiss1発現細胞数が対照群の1/10以下まで低下した5個体において,LHパルスの消失あるいは抑制を認め,平均血中LH濃度,LHパルスの頻度および振幅は,対照群と比較して有意に低かった。AAV-Creを投与したこれらのラットの下垂体LH含有量は,対照群と比較して有意に低かった。なお,これらの動物において前腹側室周囲核にKiss1発現細胞が認められ,高濃度E2処置により振幅は小さいもののLHサージを認めた。以上の結果より,弓状核キスペプチンニューロンがGnRHパルスジェネレーターであることが明らかとなった。

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