2017 年 11 巻 2 号 p. 130-137
過去7年間に染毛剤皮膚炎と診断した患者73例について, 臨床症状およびパッチテスト結果をもとに検討を行った。臨床的検討では, 頭部の接触皮膚炎でありながら被染毛者の13/60例 (21.7%) に被髪頭部の症状の訴えがなかったこと, また, 全患者の26/73例 (35.6%) に汎発性の病変を認めたことが注目された。顔面・頚部の湿疹病変, 体幹・四肢の汎発性湿疹診察の際, 接触原として染毛剤を念頭におくことが重要である。パッチテストで最も陽性率が高かった染毛剤関連アレルゲンは p-phenylenediamine (PPD) であり, その陽性率は94.5%であった。一方で4例のPPD陰性例を認めた。PPDパッチテスト陽性, かつ本人使用の染毛剤中にPPDの含有が明らかであった患者37例のうち, 本人使用染毛剤 I 剤のオープンテストで陽性を示したのは23/37例 (62.2%) であった。製品のオープンテストのみでは患者を見逃す可能性がある。また, オープンテストの陽性率は混合剤を用いるよりも I 剤単独を用いたほうが高かった。