主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【背景】遺伝的に有用な家畜や絶滅危惧動物の卵母細胞を有効利用するために,種々の発育ステ—ジの卵胞を単離し体外で発育培養し成熟卵を産生する技術が研究課題とされている。そのなかで,卵巣内卵胞の大多数を占める一次卵胞からの成熟卵獲得の成功例はほとんど報告されていない。そこで本研究では,顆粒層細胞-卵母細胞複合体(GOC)構造を維持することで単離一次卵胞から成熟卵を効率的に獲得する方法を検索した。【材料および方法】生後1週齢BDF1(C57B6×DBA)マウス卵巣から直径50~70 μmの一次卵胞を機械的に単離した。単離した一次卵胞を諸白ら(2016 JRD)の報告を基に,①細胞高接着性膜(Transwell-COLメンブレン)を用い連続培養を20日間行う対照区(n=68)およびGOC構造を維持する目的で②細胞低接着性膜(MilliCell メンブレン)上で7日間培養したのち細胞高接着性膜上で13日間培養を行う切替え区(n=102)に供試した。体外発育培地として,5%FBS,0.1 IU/ml FSHおよび2%PVPを添加したαMEM培地を用い,37℃,5%CO2/95%空気,高湿度の条件下で培養した。【結果および考察】培養後,対照区では裸化卵母細胞が観察されたのに対し,切替え区では増殖した顆粒層細胞で周囲を囲まれた卵母細胞が多く観察された。培養20日目の卵母細胞の生存率は対照区(57.4%)に比べ,切替え区(69%)で高く,また卵母細胞の直径も対照区(平均値 ± SE; 76.5 ± 3.4 μm)に対し,切替え区(81.1 ± 4.5 μm)で有意に大きかった。さらに,培養卵胞から得られた卵丘-卵母細胞複合体を回収し,体外成熟を行なった結果,対照区(15.4%)に対して切替え区(34.3%)において有意に高い成熟率を示した。以上より,細胞低接着性膜と高接着性膜の切替え培養を行うことで,単離一次卵胞から効率的に成熟卵を産生することが可能であることが示唆された。