日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-114
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ポスター発表
性ステロイドホルモンが牛の子宮内膜組織血流量に及ぼす影響
*河野 光平ニンペット ナタポンヴォン フォン阪井 紀乃篠原 明南家 夕子栁川 洋二郎片桐 成二
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抄録

【目的】子宮への血流供給は妊娠の成立・維持に重要であり,ヒトではその血流量と受胎性との関連が示されてきた。牛では子宮動脈血流量の発情周期中およびエストラジオール(E2)投与後の変化が調べられてきたが,直接胚が接する子宮内膜組織の血流量の変化やその制御機構は明らかにされていない。本研究では,性ステロイドホルモンが子宮内膜組織血流量に及ぼす影響を調べるために,発情周期中の子宮内膜組織血流量の変化を血中E2およびプロジェステロン(P4)濃度と子宮内膜の形態的変化とともに評価した。【方法】乳用経産牛7頭を用い,オブシンク法で排卵を同期化した。オブシンク処置における2回目のGnRH投与日を0日として–3,0,2,7,14,19,次回発情日,同2日後の子宮角基部の子宮内膜組織血流量および血中のE2およびP4濃度を測定した。7頭中5頭については子宮内膜厚も測定した。【結果および考察】子宮内膜組織血流量は,32.6~75.8 ml/min/100g組織重量の範囲にあった。子宮内膜組織中のP4濃度は黄体側の子宮角で高いことが知られ,卵巣構造物との位置関係によって血流量が影響を受ける可能性が考えられたが,子宮角基部における血流量は黄体あるいは主席卵胞側とそれら反対側との間で差異はみられなかった。子宮内膜組織血流量は,–3および14日目(黄体期),0日目および次回発情日(卵胞期),2日目および次回発情の2日後の順に高かった(P<0.05)。子宮内膜厚は0日目と次回発情日において他の日と比べて1.4倍程度に増加した。子宮動脈の血流量は卵胞期に増加するとされているが,子宮内膜組織においては浮腫性変化により組織の毛細血管密度が減少し,血流量が低下したと考えられた。次に,浮腫性変化による血流量への影響が示唆される卵胞期を除いて子宮内膜組織血流量と血中P4濃度の関係を調べたところ強い相関が得られ(y = 9.91ln(x) + 55.26,R2 = 0.85),P4が子宮内膜組織における血流の制御に関わっていることが示された。

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© 2020 日本繁殖生物学会
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