主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】我々は生後0日目の卵巣を用いた組織培養実験によって原始卵胞は血清濃度依存的に発育が促進されることを明らかにした。しかし,生後4日目の卵巣を用いた組織培養では同様の原始卵胞発育促進効果は確認できなかった。この結果は生後4日目以降の卵巣には血清による原始卵胞の発育促進効果を抑制する因子が存在する事を示している。この因子を同定するために生後0,4日目の卵巣を用いてマイクロアレイによる解析を行った。その結果,cathepsinの阻害因子であるstefin A(Stfa)の発現が生後4日目の卵巣において上昇している事が明らかになった。また我々は生後4日目の卵巣を17βエストラジオール(E2)阻害剤(ICI 182,780; ICI)で処理すると原始卵胞の発育促進効果が見られる事も確認している。本研究では卵巣内の原始卵胞発育制御におけるE2とStfaの作用機序を解明する事を目的としている。【方法】生後0,4日目,4週齢のoog1pro3.9マウスの卵巣を用いて組織培養を行い,E2,ICI,cathepsin阻害剤(E 64d; cathepsin L,Bを阻害)を添加し,卵胞発育に対する効果を調べた。またE2とStfaの関連性を調べるため,E2,ICIで処理した卵巣におけるStfaの発現量をreal-time PCRによって調べた。【結果】卵巣組織培養下における添加実験においてE2は原始卵胞発育に対して抑制効果,ICIは促進効果,E 64dは抑制効果を示し,ICIの促進効果はE 64dによって減弱することが確認された。また,real-time PCRの結果からE2はStfaの発現量を制御していることが明らかになった。以上の結果はE2がStfaの発現制御を行う事によって原始卵胞の発育をコントロールしている事を示唆している。Stfaはcathepsinによる原始卵胞周辺の細胞外マトリックス分解を阻害する事によって卵胞発育制御に関与していると考えられる。