日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-22
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ポスター発表
宿主精巣に移植した精子幹細胞はストカスティックな運命を辿る
*中村 隼明小出 茅洋濵井 奈津子JÖRG David JSIMONS Benjamin D吉田 松生
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抄録

【目的】精子幹細胞は,予め生殖細胞を除去した宿主精巣内に移植すると,生着して精子形成のコロニーを作る。コロニーはそれぞれ単一の精子幹細胞に由来することから,この方法は移植後のコロニー形成を指標として幹細胞を定量的にアッセイできる唯一の系として広く利用されてきた。しかし,宿主精巣に移植した個々の精子幹細胞がどのような運命を辿ってコロニーを形成するか未だ明らかにされていない。そこで本研究では,数理学的なアプローチにより精子幹細胞の宿主内ダイナミクスを解明することを目的とした。【方法】精子幹細胞の宿主内ダイナミクスを記述する数理モデルを構築するため,Hara et al. (2014) の定常状態における精子幹細胞のダイナミクスを記述するモデルを一部改変した。続いて,構築したモデルを用いて,パルス標識後に移植した精子幹細胞のクローンの定量的なデータを予測できるか検証した。【結果】本研究では,移植した精子幹細胞の挙動に関する4個のパラメーターを持つモデルを構築した。精子幹細胞の不完全分裂の頻度は移植後のライブイメージング映像から抽出した実測値を用い,シスト断片化の頻度・細胞死の頻度・細胞死が起こる期間をフリーパラメターとしてフィッティングした。その結果,このモデルは,クローンの生存率,クローンを構成する幹細胞数の分布,シストの構成比といった多岐にわたる実験データを定量的に予測することができた。以上の結果より,従来考えられてきたようにごく少数の精子幹細胞が移植後にコロニーを作るのではなく,幹細胞活性を持つ細胞がストカスティックな運命選択を経てコロニーを作ることが示唆された。

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© 2020 日本繁殖生物学会
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