日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-38
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ポスター発表
ウシ凍結精液への還元型グルタチオンの添加による体外受精成績の向上と精子の質の関連
*緒方 和子今井 昭佐藤 伸哉西野 景知渡邊 伸也小林 栄治武田 久美子
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抄録

【目的】活性酸素種に起因する酸化ストレスは,精子の受精やその後の胚発生に悪影響を及ぼす。我々は以前に,抗酸化物質である還元型グルタチオン(GSH)の凍結希釈液への添加が,低発生率を示す精液の体外受精(IVF)成績を改善することを報告した。一方で,それらの精子の質と胚発生能の関係は不明であった。本研究では,凍結希釈液へ添加したGSHが精子へ及ぼす影響を明らかにするために,凍結融解後の精子の運動性,先体正常性,DNA正常性およびIVFによる胚発生能を評価した。【方法】精液は種雄牛4頭(A,B,C,D)より採取した。凍結希釈液に0(無添加),1,5および10 mMのGSHを添加して凍結および融解を行った。精子の運動性は精子運動解析装置で計測し,先体の正常性はPIとPNAによる二重染色で,DNA正常性は断片化したDNAを染色するTUNEL法で評価した。また,と畜場由来卵巣より採取した卵子を用いたIVFを行い,卵割率および胚発生率を評価した。【結果】融解後の精子の運動率および運動速度は,3頭(A,C,D)においてGSHの添加濃度が高くなるに従い低下する傾向であった。GSHの添加による先体正常性への影響はみられなかった。DNA正常性は全ての個体においてGSHの添加により低下する傾向であり,無添加で5%以上のDNA断片化率のみられた2頭(A,C)ではGSHの添加濃度に従いDNA断片化率が増加した。種雄牛Aでは10 mMの添加により無添加区と比較して有意に高いDNA断片化率となった(P<0.05)。一方でIVF成績はGSH添加により向上し,2頭(A,C)においてGSH添加区で無添加区と比較して高い卵割および胚発生率となった(P<0.05)。以上より,凍結希釈液へのGSHの添加は,もともと品質の低い凍結精液に対してDNA正常性を低下させるが,IVF成績を向上させる効果があることが示唆された。

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© 2020 日本繁殖生物学会
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