主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】哺乳動物胚では,桑実期から胚盤胞(BC)期にかけて,内部細胞塊(ICM)と栄養膜細胞への分化が生じるため,胚の組織分化機構を解明するには胚の長期培養が可能で,かつBC期胚の拡張もしくは脱出を支持し得る培養条件の構築が必要である。本研究では,体外発生培地への血清添加が,ブタ体外受精(IVF)胚の発生,特に胚の培養可能期間とBC期胚の拡張および脱出におよぼす影響を検討した。また,今回新たに構築した培養条件を用いて,ICM分化を制御するとされるSOX2の発現抑制がブタIVF胚の発生におよぼす影響について検討した。【方法】ブタIVF胚を3%子ウシ血清(CS)添加またはCS無添加のPZM-5もしくはPBM(血清無添加)でDay 7(IVF日=Day 0)まで培養した。CSの添加は,Day 3もしくはDay 4に行った。次に,RNA干渉法によりSOX2発現を抑制したブタIVF胚を3%CS添加(Day 3)のPZM-5で培養し,Day 7までの胚発生と16-細胞期におけるOCT-4およびTEAD4 mRNA発現量を調べた。【結果および考察】Day 5でのBC期以上への発生率において,培地への血清添加の有無による差は認められなかった。Day 6においてBC期以上へ発生した胚の割合は,Day 3に3%CSを添加した区において血清無添加のPZM-5区およびPBM区と比較して有意(P < 0.05)に高い値を示した。また,Day 6において拡張BC期以上へ発生した胚の割合は,PZM-5に血清を添加した2区が血清無添加のPZM-5と比較して有意(P < 0.05)に高かった。SOX2発現の人為的抑制は,Day 5以降におけるBC期以上への胚発生を顕著に阻害した。OCT-4およびTEAD4発現においてSOX2発現抑制による影響は認められなかった。本結果より,血清添加はブタ胚の体外培養期間の延長を可能とし,BC期以降の発生を支持することが示された。また,SOX2はブタ胚の初期発生に重要な役割を持つことが示唆された。