主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】本研究室では,アルギニン(Arg)およびロイシン(Leu)を添加したKSOM培地において処理した胚盤胞を胚移植した結果,Arg + Leu処理は着床率を上昇させた一方で,Arg処理は着床率を減少させることを明らかにした。Argは一酸化窒素合成酵素(NOS)を介して一酸化窒素(NO)へと代謝される。先行研究においてNOSのアイソフォームであるeNOS発現がArg処理により上昇することが明らかとなった。NOはアポトーシスを誘導することが報告されている。このことから,Arg処理による着床率の低下はeNOSを介したNOにより誘導されたアポトーシスに起因する可能性がある。そこで,本研究ではアミノ酸処理した同一マウス胚のNO産生およびアポトーシスをライブセルイメージングアッセイにより同時解析した。【方法】ICRマウスを用いて体外受精を行い,胚盤胞を作出した。体外培養後の胚盤胞を,ArgまたはArg+Leuで24時間処理した。その後,NO産生およびアポトーシスを蛍光法により解析した。蛍光プローブには,NO検出用プローブとしてDAF-FM DAおよびカスパーゼ検出用プローブとしてRed-VAD-FMKを用いた。【結果】NO産生量は対照区と比較してArg処理区において上昇する傾向を示した。カスパーゼ陽性率(%)は,対照区と比較してArg処理区において差は見られなかった一方で,Arg+Leu処理区において減少する傾向があった。相関・回帰分析の結果では,全ての解析群においてNO産生量とカスパーゼ陽性率(%)の間に相関は見られなかった。したがって,Arg処理による着床率の減少はNOを介したアポトーシスの誘導に起因しないことが明らかとなった。また,Arg+Leu処理によるアポトーシスの減少が着床率を上昇させた可能性が考えられた。