日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-52
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ポスター発表
Brd4阻害による極TE欠損胚盤胞の機構解明に向けた細胞極性およびYAPの動態解析
*松本 沙知渡辺 連望月 和樹岸上 哲士
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抄録

【目的】ブロモドメインタンパク質Brd4は初期胚から成体まで発現し,特に胚盤胞の内部細胞塊の正常な発生に不可欠である。我々は,IVF胚を2細胞期初期からBrd4阻害を行った場合,胚盤胞率が低下し,胚盤胞において栄養外胚葉の細胞数の減少や極栄養外胚葉欠落が高頻度で起こることを見出し報告した(第112回本大会)。本研究ではこの機構を解明するため,胚盤胞形成過程における細胞極性およびYAPの細胞内局在の動態に着目し解析を行った。【方法】ICR系統マウスの卵子および精子を用いてIVFにより受精卵を得た後,実験区としてIVF24時間後にBrd4阻害剤500 nM(+)JQ1を含む培養液に移した胚およびコントロールの2区で比較を行った(JQ24h, control)。培養した胚を固定後,YAP,pERM(細胞極性マーカー),内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)への細胞分化マーカーとしてNANOGおよびCDX2の抗体を用いて免疫染色を行った。【結果・考察】32細胞期のcontrol区では,pERMの発現が胚の外縁部の割球全てに見られたのに対し,JQ24h区では外側でpERMが発現していない割球を持つ胚が高頻度で観察された(control 1/10個 vs JQ24h 5/10個)。さらにこれらの胚では,pERMが発現していない割球においてYAPが核外に局在していた。一方,これらの胚盤胞における総細胞数は処理区において減少していたが(control 72±5 vs JQ24h 59±6),ICMとTEの細胞数の比に差は見られなかった(control ICM:TE=14:86 vs JQ24h ICM:TE=15:85)。以上の結果から,受精後24時間後からのBrd4の機能阻害により極栄養外胚葉を持たず内部細胞塊が露出した胚盤胞が形成されるのは,桑実期胚において無極性細胞が内側に移動する過程が妨げられ外側に取り残されたためと考えられる。

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