主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】哺乳類の発情行動を制御する中枢メカニズムは未だ明らかになっていない。これまでに,雌ラットの性行動であるロードシスを示す際に活性化する脳領域が報告されてきたが,どのようなニューロンが活性化するかは明らかにされてこなかった。タキキニン類に属するSubstance Pの中枢投与はラットのロードシスを促進することが報告されていることから,本研究では,発情行動発現時に活性化するニューロンがSubstance Pニューロンか検証した。【方法】実験には卵巣摘出後にエストロジェンを負荷した雌ラットを4匹用いた。17時から1時間雄ラットと同居させ,雌の発情行動を記録した。対照群ラット4匹はオスとは同居させなかった。その後,4%パラホルムアルデヒドにより灌流固定し脳を摘出した。凍結切片を作成し,ニューロンの活性化マーカーであるc-Fosタンパク質の免疫組織科学およびSubstance PをコードするTac1遺伝子のin situ hybridizationによる染色を実施し,腹内側核腹外側野(VMHvl),腹側前乳頭核(PMv),扁桃体背内側核(MePD)におけるc-Fos陽性細胞数,Tac1陽性細胞数を計測した。【結果】ロードシスを示した実験群では,VMHvl,PMv,MePDにc-Fosのシグナルが対照群に比べ有意に多く認められた。また,Tac1遺伝子陽性細胞数は,いずれの神経核においても実験群と対照群の間に差は認められなかった。Tac1遺伝子陽性細胞のうちc-Fosを発現していたものの割合はいずれの神経核においても実験群で有意に多かった。以上の結果より,VMHvl,PMv,MePDのTac1ニューロンは,発情行動発現時に活性化することが示唆され,発情行動において何らかの機能を有する可能性が考えられる。