日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-6
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ポスター発表
ATP-プリン受容体シグナリングによるAVPVキスペプチンニューロン由来不死化細胞株活性化の検討
*土肥 由莉上野山 賀久束村 博子井上 直子
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抄録

【目的】げっ歯類において前腹側室周囲核(AVPV)キスぺプチン(Kp)ニューロンは,GnRH /LHのサージ状分泌を司る排卵中枢であると示唆される。我々は先行研究において,ラットAVPV Kpニューロンにはプリン受容体の一つであるP2X2受容体遺伝子(P2rx2)が発現し,プリン作動性ニューロンがAVPV Kpニューロン近傍に投射すること,プリン受容体拮抗剤をラットAVPV近傍に投与すると内因性LHサージが完全に消失することを明らかにし,AVPV KpニューロンにおけるATP-プリン受容体シグナリングがGnRH/LHのサージ状分泌の誘起に関与することを示唆した。本研究では,ATP-プリン受容体シグナリングによりAVPV Kpニューロンが直接刺激されるか否かを解明するため,マウスAVPV由来Kpニューロン不死化細胞株を用い,ATP添加により同細胞株が活性化するか否かを細胞内Ca2+濃度を指標として検討した。【方法】ラットAVPV組織およびマウスAVPV由来Kpニューロン不死化細胞株(mHypoA51)におけるP2rx2 mRNA発現にエストロジェンが及ぼす影響を定量的PCRによって調べた。次に,E2を添加した培地で4時間培養したmHypoA51にATP(100 µM)を添加し細胞内Ca2+濃度の変化を確かめた。【結果と考察】ラットAVPV組織およびmHypoA51細胞株においてP2rx2発現が認められ,エストロジェンによりP2rx2発現が増加する傾向がみられた。また,mHypoA51へのATP添加により,一過性の細胞内Ca2+濃度の上昇が認められたことから,ATPによる神経活動の活性化が示された。これらの結果から,AVPV Kpニューロンは,ATP-プリン受容体シグナリングにより直接刺激され,GnRH/LHサージを制御することが示唆された。今後は,P2X受容体拮抗剤やsiRNAを用い,外因性ATP添加によるmHypoA51の細胞内Ca2+上昇が抑制されるか否かを確認する予定である。

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