日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-88
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ポスター発表
ブタ受精卵へのCRISPR/Cas9導入による遺伝子組換え胚作出とTrex2共導入によるモザイク胚低減
*山下 司朗小賀坂 祐平平舘 裕希種村 健太郎千代 豊
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抄録

【目的】受精卵でのゲノム編集により効率よく遺伝子組換え個体が得られることが報告されているが,複数の遺伝子組換え細胞集団が混ざり合うモザイクの発生が問題となっている。マウスにおいては様々な取り組みによりある程度この問題が解決されてきているが,ブタを含む大型動物では高頻度でモザイクとなることが知られており,未だに大きな問題となっている。モザイク変異を避けるためにはDNA複製前の1細胞期胚においてCRISPR/Cas9によるDNA切断が行われるだけではなく,DNA切断後の遺伝子修復でエラーが起こることが重要である。そこで我々はブタ受精卵内へCRISPR/Cas9に加えて,DNA末端を削り取る作用を持つマウス由来Trex2 mRNAを共導入することで,早期に遺伝子変異を導入し,モザイク変異の発生を抑制出来るかを検討した。【方法】と場より採取したブタ卵巣より未成熟卵子を取り出し体外成熟,体外受精によってブタ受精卵を得た。得られた受精卵をCas9タンパク,sgRNAおよびmTrex2 mRNAを懸濁したOptiMEM培地に入れ,エレクトロポレーション法により導入した。体外培養を実施し,IVF後6日で得られた胚盤胞期胚の発生率,直径を観察した。変異導入効率ならびにモザイク変異はCRISPR/Cas9認識領域を対象としたダイレクトシーケンス,Tracking of Indels by Decomposition(TIDE)ソフトウェアを用いて解析した。【結果】ブタ胚にCRISPR/Cas9およびmTrex2 mRNAを導入後,様々な変異を持つ胚盤胞期胚が得られ,最大で7つのアレルを持つモザイク胚が観察された。尚,mTrex2 mRNA共導入による胚盤胞期胚発生率および形態への影響は認められなかった。遺伝子変異解析の結果,複数のモザイク胚および非モザイク胚が得られ,mTrex2 mRNAを共導入することでモザイク胚の発生を抑制し(92.6±8.6% vs. 70.7±4.5%),非モザイク胚を効率よく得られることが示された。

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