日本繁殖生物学会 講演要旨集
第114回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR-2
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卵巣・卵子
生殖細胞特異的多コピー遺伝子Oog1の機能解析
*畑村 茉穂国本 悠里塚本 智史堀居 拓郎畑田 出穂池田 俊太郎南 直治郎
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抄録

【目的】ほ乳類では胎児生殖腺において精子形成関連遺伝子と卵子形成関連遺伝子が拮抗して働くことで性分化が始まることが知られているが,その詳細なメカニズムは不明な点も多い。Oog1はマウスゲノム上に5コピー存在する遺伝子であり,雌胎児生殖腺において胎齢15.5日に発現を開始し,受精後2細胞期までそのRNAが存在することが分かっているが,その機能は不明である。本研究ではOog1の機能を明らかにすることを目的とした。【方法】5コピー共通な配列にgRNAを設計し,CRISPR/Cas9システムを用いてOog1の完全ノックアウト(KO)マウスの作出を行った。また,その機能を予測するためにインシリコによるOOG1の構造解析を行った。【結果】Oog1は4番染色体上に2コピー,12番染色体上に3コピー存在するため,これらを一気にKOすることは困難であった。よって4番染色体の2コピーがKOされた系統と12番染色体の3コピーがKOされた系統を樹立し,これらを交配させることにより5コピーのKO系統の樹立を試みた。また,Oog1のホモロジー解析から,ヒト遺伝子であり癌・精巣抗原であるPRAMEやそのファミリー遺伝子と相同性が高いことが分かった。OOG1は9つのLRRドメインを持ち,horseshoeの立体構造をとることが予測され,PRAMEと類似していることが判明した。PRAMEはその機能の一つとしてレチノイン酸シグナルを抑制することが報告されている。また雌の胎児生殖腺において,胎齢12.5日にレチノイン酸シグナルに応答してStra8が発現することで卵母細胞の減数分裂が開始され,胎齢16.5日にはその発現が減少し第一減数分裂前期の複糸期で減数分裂を停止することが分かっている。以上のことからOog1が胎齢15.5日に発現を開始することでレチノイン酸シグナルを抑制し,胎齢16.5日での減数分裂の一時停止に関与しているとの仮説を立て,今後の実験を進めている。最新の知見も併せて紹介する。

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