日本繁殖生物学会 講演要旨集
第99回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-25
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卵・受精
線虫C. elegansのDeleted in Azoospermia蛋白質は翻訳調節蛋白質の発現を促進することで配偶子形成を制御する
*辛島 健
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抄録
DAZ(Deleted in Azoospermia)ファミリー蛋白質は、多細胞動物の配偶子形成に必要なRNA結合蛋白質であり、生殖細胞の細胞質において特定のmRNAの3'非翻訳領域(3'UTR)に結合して翻訳を促進する活性を持つ。線虫C. elegansのDAZ相同蛋白質であるDAZ-1は、体細胞分裂期から減数分裂前期の早い段階までの生殖細胞において発現し、卵形成時の減数分裂前期の進行に必須である。今回、DAZ-1蛋白質がin vivoで結合するmRNAの候補を生化学的に同定した。それらのmRNAには、生殖腺特異的なfbf遺伝子およびgld-1遺伝子のmRNAが含まれていた。fbfおよびgld-1 mRNAの産物であるFBFおよびGLD-1蛋白質は、生殖幹細胞の維持や雌性減数分裂前期の進行に必須な翻訳抑制因子である。daz-1変異体の生殖腺においては、FBFおよびGLD-1蛋白質の発現量が、野生型の生殖腺における発現量よりも減少していた。また、fbfおよびgld-1 mRNAの3'UTRには DAZファミリー蛋白質の結合配列である(A/C/U)GUUC配列が複数存在し、DAZ-1蛋白質のRNA結合ドメイン(RRM)は、in vitroでこれらの3'UTRに(A/C/U)GUUC配列依存的に結合した。fbf遺伝子およびgld-1遺伝子に関連する各種遺伝子の変異とdaz-1変異との二重変異体の表現型からも、daz-1遺伝子がin vivofbfおよびgld-1遺伝子の上流経路で機能することが支持された。
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© 2006 日本繁殖生物学会
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