水産物を取り巻く厳しい現状の中で,価格競争に巻き込まれないブランドを構築するための理論的,実証的検討を行うことが本論文の目的である。本稿ではブランドの確立にあたって,個別ブランドのみならず,地域ブランドとして展開していくことが有利である点を述べ,その手法の検討をおこないたい。水産物を対象とした地域ブランドとは,地域諸資源と水産物の結びつきをマネジメントしていくということにほかならないが,そこで「個別ブランド強化型」「交流ビジネス型」「地域イメージ利用型」の3つの類型があることを示し,特に後者2つの類型の事例についてケーススタディを行っていく。