地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
フィジーにおける沿岸漁場管理の現状と課題
ヴィバトゥロア村とナカワカワ村を事例として
キトレレイ ジョキム鳥居 享司ヴイタヤキ ジョエリ
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 54 巻 2 号 p. 25-43

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抄録

フィジーの沿岸にはマングローブ,サンゴ礁,汽水域など多様なエコシステムと水産資源が存在している。そしてqoliqoliと呼ばれる漁場管理システムによって沿岸漁場を410に区分,政府とコミュニテイが管理する方法がとられている。境界線によって区分された各漁場には多様な環境と水産資源が存在しており,沿岸住民はその豊かな資源を利用した生活様式を確立してきた。漁場を複数の村民,あるいは複数の沿岸漁村で共同利用することから,その利用を円滑にすすめるためには沿岸漁場管理にかかるコミュニティの知識や理解を高める必要がある。

そこで本研究では,コミュニティの漁場管理システムへの理解にかかる現状と課題を明らかにすることを目的とする。事例としてヴイバトゥロア村とナカワカワ村を取りあげ,漁場の所有権,コミュニティの漁場管理システムへの理解,漁場管理にかかる意思決定構造,漁場利用上のコンフリクトなどについて明らかにする。

分析の結果,漁場の所有権について誤った理解がなされていること,コミュニティに漁場管理をするための十分な知識や情報が存在しないこと,それ故トラブルが発生していることなどが分かり,有効的な漁場管理がなされていない一端が明らかとなった。

有効的な漁場管理システムを構築するためには管理主体である政府とコミュニティの協働とそれを通じた資源利用や漁場管理にかかるコミュニティの知識・理解を高めることが必要になるだろう。

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© 2014 地域漁業学会
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