土壌浸透法は低コストで使用できる廃水処理技術であり, 排水の湿地処理として植物を生育させることによって栄養塩類除去の効果も相乗的に発揮されることができる. しかし, 生育される植物は農作物ではなく, 抽水植物や樹木が一般的に使用されるため農家の積極的な参画が見込まれないこと, システムの維持には高頻度に刈り取りが必要になり, 管理が複雑になることなどが問題点である. 本研究では育てやすい飼料作物としてトールフェスク, シロツメクサを使った植物ポット試験を行い, 畜産廃水を灌漑水として使用した時の土壌中の可給態リン酸, 栄養塩類の蓄積傾向, さらに植物がこれらに与える影響を検討した. 硝化により土壌pHが低下した. これと同時に可給態リン酸の増加が見られた. ナトリウム集積, 過剰なカリウムの蓄積の傾向が認められたものの, 9ヵ月の期間では植物生育に大きな問題にはならなかったが, 植物体内のカリウム, マグネシウム等の検討が今後必要である. 根の伸張によって「水みち」が形成され, 土壌浸透システムの透水性維持が期待できた.