抄録
年間数十万トンを生産するホタテガイの加工残滓は,高濃度にカドミウム(Cd)を含む処理困難な産業廃棄物である.これまで工業化された処理としては中腸腺(ウロ)のみを取り分けた上で,強酸浸漬-電解法で脱Cdする方式があるが,経営基盤の弱い中小水産加工業には導入が難しいだけでなく,Cdが集中的に蓄積するウロのみを個別に取り分けなければならない欠点があった.これに代わるシステム開発の一環として,著者らはウロのみを対象とした弱酸洗浄法をすでに報告したが,大量に生じる洗浄液の問題がシステムの簡易化を阻害し,かつ手作業でウロを取り分けなければならない問題は解決できずにいた.本報告ではこれを克服するために,ウロを取り分けずに廃棄物全体を対象として,同じ弱酸洗浄法と単純なローテク機器の組み合わせのみを用い,洗浄液量を大幅に減少できる洗浄条件を明らかにした.