抄録
前報(第38回日本歯科理工学会)1)では, 鋳造用金銀パラジウム合金の熱膨張率, 熱膨張係数, 高温強度、組成について検討を加え, 凝固収縮率が0.932%であること, 固液共存領域の強度が極めて小さいこと, 凝固速度により粗大化樹枝状晶が発生すること等を報告した。今回は, 歯科用合金の基準となるタイプIII金合金について, 熱膨張率, 熱膨張係数, 高温強度, 固液共存領域の金属組織とその組成変化, 凝固速度と金属組織との関係について検討したので報告する。
タイプIII金合金は, `固液共存温度領域においてもある程度の強度を有しており, 凝固収縮が鋳造体の適合に影響を及ぼす可能性が示唆された. この強度は, 同温度領域における固相粒の形態に依存しているものと推察される.