抄録
本研究では,バイオマス系廃棄物である製紙汚泥,タケ,アナアオサ,焼酎粕を原料とし,廃棄物であるホタテガイウロに含まれる中腸腺の圧搾液を粗酵素溶液(ホタテガイ粗酵素)として用い,乳酸菌との同時糖化発酵(SSF)によってL-乳酸の生成を試みた.ホタテガイ粗酵素はセルラーゼ,アミラーゼをそれぞれ22,170units/L含み,試みたすべてのバイオマス系廃棄物からL-乳酸を生成できたが,中でも,でんぷんを多く含んでいるアナアオサと焼酎粕でL-乳酸濃度が高く,液体培養SSFでそれぞれ3.6g/L,9.3g/Lとなった.また,それぞれのバイオマスに含まれるグルカンからのL-乳酸変化率は,いずれも25%以上と高い値となった.引き続いて,固体培養のSSFを行ったところ,アナアオサから13g/L,焼酎粕から26g/Lとさらに高濃度のL-乳酸を生成することができた.