2013 年 42 巻 10 号 p. 625-633
水道水が給水されている地域にもかかわらずコスト削減を主な理由として、地下水を水源とした専用水道を設置しようとする動きが目立っている.自己水源型専用水道22施設の原水における硝酸態窒素や揮発性有機化合物等の検出状況を調査したところ,硝酸態窒素(0.742~10.6㎎/L)が5施設の原水から検出されたことから肥料等の影響を受けていると推定された.また,トリクロロエチレンが3施設,1,1,1- トリクロロエタンが2施設,1,1- ジクロロエチレンと四塩化炭素が1施設の原水から検出されたことから揮発性有機塩素化合物に汚染された自由地下水から取水していると推定された.特に横浜市西部の境川流域に専用水道を設置する場合には,相模野帯水層全体に揮発性有機塩素化合物が拡散されている可能性を考慮する必要があると考えられた.