抄録
2013年3月29日,経済産業省は,再生可能エネルギー固定価格買取制度に係る太陽光発電向け2013年度価格を発表した.この価格は,2012年度より1割引き下げられたとはいえ,依然,国際価格の倍以上の水準であり,このような買取価格の設定は,電力会社,消費者,投資家,三者間の微妙なバランスを崩すものであり,投資家の利益に過度に偏したものではないかとの懸念を生んだ.このような問いに答えるため,本稿においては2013年度の買取価格を,キャッシュ・フロー・モデルを使い分析し,その水準の妥当性を検証することとした.分析の結果,同価格は,投資家にとって重要な指標であるEquity IRR ベースから見ると20%に近い内部収益率を保障するものであり,投資家寄りの価格設定といわれても止むを得ないものであることが明らかとなった.