本研究は,人工湿地による酸性坑廃水(Zn 30 ㎎/L,Cd 0.3 ㎎/L,Cu 20 ㎎/L,Pb 2.5 ㎎/L,pH 4.7)からの金属除去に及ぼすヨシの影響を明らかとすることを目的として実施した.1年以上のラボスケールのシーケンシングバッチ処理を通じて,基質とした石灰石による模擬坑廃水の中和によって,銅と鉛は排水基準以下にまで除去できた.カドミウムも排水基準近くにまで除去できたが,ヨシを植えた人工湿地では,亜鉛の除去は不十分であった.ヨシは土壌細菌数を増やし,Rhodanobacter 属やCellulomonas 属の比率を高めた一方,pH の上昇を抑制したため,人工湿地における亜鉛とカドミウムの除去に阻害的であった.