環境技術
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TNP-4100型全窒素・全りんの自動計測装置
矢幡 雅人
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2002 年 31 巻 3 号 p. 183-186

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抄録

該当機種名は, 島津オンライン全窒素・全りん計TNP-4100形 (以下, TNP-4100と称する) である.本装置は, (1) 安定稼動, (2) 維持管理コストの低減を命題に開発された水質自動計測器である.また, 水質総量規制に不可欠な負荷量演算機能を内蔵しており, さらにオプションのUV計UVM-1を装着することにより1台で全窒素・全りん・有機汚濁成分 (COD) の総量規制3成分の計測と各成分の汚濁負荷量の出力が可能である。写真1にその外観を, 図-1にフロー図を示す.
本年度施行が見込まれる第5次水質総量規制においては, 従来からの有機汚濁成分 (COD) に加えて, 窒素およびリンが規制されるため, 対象となる事業所は全窒素・全りんの計測が義務付けられる.そのため, 今後数年の間に, 多くの事業所に全窒素・全りん自動計測器が設置されると予測される.自動計測器であるからには安定稼動は当然であるが, コストについても装置導入時のイニシャルコストだけでなく, 維持管理にかかるランニングコストも機種選定の重要な要素と考えられる.TNP-4100は, 独自の計量・分配システムを採用することで, (1) 安定稼動, (2) 維持管理コストの低減という, これら2つの命題を実現している.
また, TNP-4100の計測方法は, 酸化分解方法以外は全窒素・全りんそれぞれ下記のJISK-0102「工場排水試験方法」に準拠している (TNP-4100の計測の流れを図-2に示す) .
・全窒素TN: JISK-010245.2紫外線吸光光度法
・全りんTP: JISK-010246, 3.1ペルオキソニ硫酸カリウム分解法
JIS法との違いは, JIS法の120℃加熱分解という高温高圧の分解に代えて, 紫外線照射により100℃以下の低温・常圧分解とした点である.このことで, 分解容器の耐久性が向上し, その維持管理が容易になっている.

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