環境技術
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Aspergillus terreus LD-1の生産するアルカリ性リグニンペルオキシダーゼの精製と諸性質
金山 望鈴木 徹河合 啓一
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2002 年 31 巻 8 号 p. 644-652

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抄録

マニラ麻の高アルカリ性パルプ化廃液 (黒液) を含む培地にて培養したAspergillus terreusLD-1が培地中に生産するアルカリ性リグニンペルオキシダーゼを精製し, その諸性質を調べた.酵素は, 粗酵素液より硫安分画及び各種のカラムクロマトグラフィーを用いる5段階の精製操作により, 収率8.2%, 10.8倍で電気泳動的に均一にまで精製された.本酵素の分子量はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動から24kDa, ゲル濾過から22kDaと求められ, 単量体と判断された.至適pHは9.5で, 安定pH域はpH9.0からpH10.0であり, pH8.0以下では活性を示さないアルカリ性リグニンペルオキシダーゼであった.本酵素は1mMFe2+により1.3倍活性が促進され, Hg2+, Pb2+及びAg+で完全に阻害された.また, 1mMマレイン酸で活性が2倍促進され, 1mMEDTAで完全に阻害された.酵素の可視部吸収スペクトルから, 本酵素はヘム蛋白質であることが示された.本リグニンペルオキシダーゼはアルカリ側に作用域を持つことから, 高アルカリ性のパルプ化廃液や漂白排液の処理に直接利用可能であることが示唆された.

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