環境技術
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BTEX汚染空気の微生物浄化におけるο-キシレン分解菌の添加効果
瀧 寛則高畑 陽池 道彦
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2006 年 35 巻 4 号 p. 302-310

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抄録

菌体培養液に空気を通過させる構造を持つバブルカラムを用いたBTEX (ベンゼン, トルエン, キシレン, エチルベンゼン) 汚染空気の微生物浄化におけるo-キシレン分解菌の添加効果について検討した.菌体植種源として土壌懸濁液をバブルカラム内の培養液に添加し, o-キシレン含有空気を用いた連続処理試験を実施した.その結果, バブルカラムにより空気中のo-キシレンが90%以上除去されるまでに5~14日間を要し, その期間はo-キシレン濃度が高いほど長くなる傾向が認められた.これに対して, 土壌懸濁液とともにo-キシレン分解菌Rhodococcus opacus TKN14株を培養液に52mg・l-1の濃度で添加した場合には, 試験開始2日目で97%のo-キシレンが除去された.また, BTEXを含有する実汚染空気に応用したところ, 土壌懸濁液とともにTKN14株を菌体植種源として添加した処理系では, 試験開始6日目でバブルカラムを通過した空気中のBTEX成分のすべてが90%以上除去された.このことから, o-キシレン分解能を持つ微生物を添加することにより, BTEX汚染空気の微生物浄化に適した有用な微生物相を迅速に構築でき, 効率的な浄化が可能となることが分かった.

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