脳科学とリハビリテーション
Online ISSN : 2432-3489
Print ISSN : 1349-0044
症例報告
回復期の脳卒中片麻痺患者1例に対するMirror therapyの即時及び長期効果の検討
古関 一則河野 豊沼田 憲治
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 11 巻 p. 37-43

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抄録

Mirror therapy(以下MT)は鏡を用いて視覚的な錯覚を与えることにより, 脳卒中片麻痺患者における麻痺肢の機能改善のために用いられている治療法である. 本研究の目的は回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者1例に対してMTを実施することによる即時的な効果を検討するとともに, 長期的に麻痺側上肢機能, 日常生活での麻痺側上肢使用頻度に向上が見られるかを検討することとした. 結果として, MT介入の即時変化として実施直後と比べ運動機能や感覚機能共に15分後により向上が認められ, MTによる即時効果には多様性がある可能性が示唆された. また, MTを実施することによりベースライン期に比べ, 介入期に麻痺側上肢機能の回復曲線が上向きとなり, 日常生活での自覚的な麻痺側使用頻度についても向上が見られた. これらの結果から, 反復したMTによる介入は即時的な効果のみならず長期的にも効果が持続する可能性が示唆された.

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© 2011 脳機能とリハビリテーション研究会
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