脳科学とリハビリテーション
Online ISSN : 2432-3489
Print ISSN : 1349-0044
症例報告
橋梗塞後に認知機能障害を呈した症例
~発症後13週目までの経過の報告~
若旅 正弘高崎 友香沼田 憲治
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 15 巻 p. 29-35

詳細
抄録

今回,橋梗塞後に認知機能障害を呈した症例を経験したため報告する.症例は60歳代,女性,橋に限局した脳梗塞を発症した.発症後3週目において,病前には認められなかった種々の行為・行動の異常が観察された.症例の背景,観察所見,神経心理学的検査の結果から,症例は今回の橋梗塞により認知機能障害(注意障害,記銘力障害,遂行機能障害)を呈したと考えられた.行為・行動の異常,認知機能障害は発症後13週目においても残存しており,そのためADL,IADLの一部に見守りを要したと考えられた.脳幹損傷後に認知機能障害を呈した症例の報告は少なく,慢性期まで経過を追ったものは極めて稀である.したがって,本症例報告は貴重かつ興味深い報告であると思われる.

著者関連情報
© 2015 脳機能とリハビリテーション研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top