脳科学とリハビリテーション
Online ISSN : 2432-3489
Print ISSN : 1349-0044
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末梢神経電気刺激と経頭蓋磁気刺激のペア刺激による左右の一次運動野の賦活変化の検討
山本 哲岡本 善敬武下 直樹石橋 清成沼田 憲治
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2017 年 17 巻 p. 39-44

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抄録

経皮的な末梢神経電気刺激の付加と一次運動野(M1)への磁気刺激を組み合わせたPaired associative stimulation(PAS25;刺激間隔25 ms)は,片麻痺治療に有用な介入となることが期待されている。これまでに,健常者を対象とした,PAS25による運動誘発電位(MEP)の振幅の変化は,同条件のPAS25においても増大するという報告と減少するという報告がある。我々は,左および右半球のM1に対し2連続経頭蓋磁気刺激を行い,短母指外転筋で計測されたMEP振幅の左右比に着目することによって,より安定したPAS25評価方法の開発を目的に実験を行った。健常成人10名を対象とし,PAS25前後に,左右M1への単発および2連続TMSによるMEPの計測を行い,皮質脊髄路の興奮性を反映する単発TMSによるMEPの振幅と,2連続TMSにより生じたMEP振幅の左右比を求めた。結果,PAS25による単発TMSのMEP振幅の変化は一定した傾向を認めなかった。一方MEP振幅の左右比は,PAS25前と比較しPAS25後に,全対象に値の増大が観察された。このことよりMEP振幅の左右比は,安定したPAS25評価方法であり,ばらつきの大きい単発TMSによるMEP振幅より優れた評価方法であると考えられる。

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© 2017 脳機能とリハビリテーション研究会
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