脳科学とリハビリテーション
Online ISSN : 2432-3489
Print ISSN : 1349-0044
症例報告
再発半球と同側方向へのpusher現象が生じた一症例
須江 慶太平林 一栗木 淳子片井 聡
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2018 年 18 巻 p. 19-24

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抄録

Pusher現象は通常,損傷半球の反対側に生じ,右半球損傷であれば左側へ,左半球損傷であれば右側へ押す現象である.我々は脳損傷側と同側へのpusher現象が生じた症例を経験した.症例は右半球にも陳旧性の病巣が認められる82歳男性で,左半球側頭葉に脳出血が生じた脳卒中再発例である.本症例のpusher現象は,今回再発した右半球と同側に生じるという特異的な現象であった.近年の報告で,pusher現象の発現や回復の遅延には右半球病変が左半球よりも関連があることが明らかになりつつある.再発により両側半球損傷を負った本症例における特異的なpusher現象の発現には,陳旧性の右半球病変の関与が考えられた.

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© 2018 脳機能とリハビリテーション研究会
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