日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-13
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
DNA鎖間架橋の修復機構の解明
*槌田 謙久木原 博柳原 啓見小松 賢志
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抄録

DNA鎖間架橋 (Interstrand cross-links : ICLs)はDNA二本鎖がDNA架橋剤によって架橋された構造のDNA損傷であり,転写,複製,組み換えを阻害する。我々は真核生物のICL修復機構の解明を目的にICLの高感度定量法(Psoralen-PEO-biotin excision assay: PPBE法)を開発し,様々なDNA修復遺伝子欠損細胞でのICL除去速度を測定した。正常細胞は細胞当たり2500個のICLを24, 48時間後でそれぞれ77, 93%除去した。この除去反応はDNA複製の阻害によって低下することからICL修復はDNA複製時に行われることが示唆された。DNA架橋剤感受性を示すファンコニ貧血細胞であるFA-G,-A相補性群細胞では正常細胞と比べICL除去速度に有意な低下が見られた。一方,FA-D2相補性群細胞ではICL除去速度は正常細胞とほぼ同じであったことからFA-D2タンパク質はICL除去には関与しないことが示された。相同組換え(HR)関連遺伝子欠損細胞はDNA架橋剤感受性を示すがICL除去速度は正常であったことからHRはICL除去後の修復に関わることが示唆された。さらに損傷乗り越えDNA合成(TLS)に関与するREV3の欠損細胞ではICL除去速度が低下することからTLSがICL除去に関与することが示唆された。

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© 2006 日本放射線影響学会
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