日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P2-29
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放射線影響(分化・老化・免疫・組織障害・その他)
ラット胎児由来消化管上皮細胞初代培養系を用いた放射線障害機構解析の試み
*坂口 奈賀子田村 泰治深町 博史明石 真言
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抄録
高線量被ばく時に起こる消化管障害に対して有効な治療法はなく、障害発生機構も未だ十分に解明されていない。その原因の一つはin vitro実験系が確立されていない事である。腸上皮由来株化細胞は存在するが、その多くは形質転換しており、放射線に抵抗性であるなどin vitroで障害を再現することは困難であった。しかし最近、腸上皮細胞を初代培養する方法が確立された(Fukamachi, H., 1992)。本研究では、放射線による障害機構並びに治療の研究にこの初代培養系が利用可能であるか検討した。17.5日令のラット胎児から、前胃・腺胃・十二指腸を切り出し、コラゲナーゼ処理後、上皮と間充織を分離した。上皮をコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ処理により小さな細胞集塊にして播種し、37℃で培養した。3種の上皮細胞は播種後3日目までに約5倍に増殖した。細胞播種の翌日にX線を照射し、24時間培養後ヘキスト染色を行い、核の染色像を基にアポトーシスを判定した。X線を照射すると、3種全ての上皮細胞において、アポトーシスに特徴的な核の変化が観察された。しかしアポトーシス発生率には差があり、前胃及び十二指腸上皮細胞では約15%であったのに対し、腺胃上皮細胞では5%程度であった。細胞播種後3日目に照射した場合には、前胃及び十二指腸上皮細胞で同程度のアポトーシスが見られたが、腺胃上皮細胞では全く観察されなかった。次に、十二指腸上皮細胞に異なった線量を照射し、アポトーシス発生率を測定した。アポトーシス発生率は線量依存的に増加し、20Gyでピーク(約20%)を示した。20Gy照射時の核の変化をヘキスト染色で経時的に観察したところ、照射後8時間目から核の変形が始まり、12時間目で凝縮像が観察され、24時間目には核が断片化した細胞が多く見られた。現在消化管各部位の放射線感受性相違の機序について検討中である。
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© 2006 日本放射線影響学会
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