日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P2-4
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放射線影響(染色体異常・発がん・遺伝的不安定性)
DNAマイクロアレイによるC.Sコンジェニックマウスの遺伝子発現解析
*森 展子三滝 優子木下 育子
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抄録
【目的】BALB/cマウスは放射線によるリンパ腫誘発に感受性であり、STSマウスは逆に抵抗性である。これまでの研究によってリンパ腫誘発感受性(または抵抗性)は4番染色体中央部に関連づけられた。この領域に存在する推定上のリンパ腫感受性遺伝子を明らかにするため、マイクロアレイを用いてリンパ腫感受性(または抵抗性)領域C.Sコンジェニック系統における遺伝子発現を解析した。
【方法】4-5週齢のBALB/cマウスおよびC.Sコンジェニックマウス7-86系統と302-9系統を用いた。5頭の胸腺よりRNAを抽出、10μgずつ混和し、バックグラウンドのBALB/cをCy3(緑)で、コンジェニック2系統をCy5(赤)ラベルした。マイクロアレイはアジレント社Whole mouse genome を用いた。
【結果】コンジェニック系統のもつSTS由来対立遺伝子の量を反映し、大多数のスポットが黄色を呈した。赤、もしくは青を示すスポットは少数であった。解析ではcircularityの悪い偽スポットは除外した。また、Cy5およびCy3強度の総和が200未満またはSN比が2以下の弱いスポットを除外しデータをノーマライズした。Cy5/Cy3中央値の比が2を越えるスポットが7-86系統では7個、302-9系統では12個得られた。5個は2系統に共通していた。4番染色体の遺伝子は2個のみであった。
【結論】Cy5/Cy3比が高かったスポットのうち4番染色体以外の遺伝子はコンジェニック系統のSTS由来遺伝子の下流にあると推察された。色素によるラベリング効率の差による偽スポットをさらに除外するため、現在、リアルタイムPCRによる遺伝子発現の比較解析を行っている。
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© 2006 日本放射線影響学会
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