抄録
青森県六ヶ所村に立地する商業用大型再処理施設では、2007年夏の操業を目指し、2006年3月から実際に核燃料を使用した最終試験(アクティブ試験)を行っている。このアクティブ試験と操業運転時には、環境中に極めて微量ながら放射性核種が放出される。当該施設では、PuやFPが大量に取り扱われるため、周辺環境におけるPuや137Cs等の土壌中での挙動を研究することは、安全評価上、重要である。これまで我々は、畑地土壌、未耕地土壌での調査を行ってきたが、今回は、六ヶ所村の代表的な環境のひとつでもある森林について報告する。239+240Pu及び137Csの蓄積量は、それぞれ106±40 Bq m-2、2.6±0.9 kBq m-2であり、未耕地土壌(81±21Bq m-2、2.3±0.8 kBq m-2)と比較して大きいことがわかった。240Pu/239Pu原子数比と239+240Pu/137Cs放射能比はいずれも典型的なフォールアウトの値と等しく、これらの核種の由来は、これまでの調査と同様に大気圏核実験由来といえる。これらの核種の深度分布と、1954年以降のフォールアウトパターンを用いて、それぞれの核種について下方への移動速度を計算した。その結果、239+240Puと137Csの移動速度は0.1-0.6 cm y-1の範囲であり、海外で報告されている森林土壌での結果とほぼ同じであった。これらの速度は、強熱減量が大きくなると遅くなり、粒径が大きくなると早くなる傾向があった。
本研究は、青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。