日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: S1-4
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がんの機能イメージング
オーバーハウザーMRIによる生体内レドックス動態の分子イメージング
*内海 英雄
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抄録
活性酸素や活性窒素種などのフリーラジカル産生あるいはレドックス状態の変化が種々の疾患成因との関連で注目されているが、疾患の成因あるいは進展に関係するのか等に関して明らかでない。生体内で、活性酸素動態、即ち、どの活性酸素が、何時、どこで、どのように産生し、何と反応するか、またレドックス状態がどのように変化しているかを無侵襲画像解析することが可能となれば、酸化ストレス性疾患の病態解明と抗酸化性医薬品の開発に有力な情報となりうる。
電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance、ESR)は、フリーラジカルを選択的に観測する高感度分析法で、生体計測ESR装置および画像化装置を組み込んだESRIを用いると、実験動物丸ごとで生きたままラジカルを測定し、画像解析できる。我々は、ニトロキシルラジカルをプローブとし、生体計測ESR法を種々の酸化ストレス性疾患モデルに適用し、酸化ストレス性疾患においても活性酸素種の関わりが多様であることが明らかとした。
近年、オーバーハウザー効果を利用したフリーラジカル画像化装置OMRIが新たな画像化法として報告された。我々はOMRIにニトロキシルプローブを組み合わせ、フリーラジカルやレドックスの動態に関しナノメータースケールで画像を得る方法を開発した。この方法を用いると、膜透過性や生体内分布が異なるニトロキシルプローブを区別しナノメータースケールで可視化できる。また、ニトロキシルプローブとその還元体を14N、15Nで標識することで酸化還元の両反応を分離画像できた。本講演ではこれら画像化の手法の原理とその応用例について紹介する。
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© 2006 日本放射線影響学会
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