日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: WS6-3
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酸化的塩基損傷と塩基除去修復
酸化ストレス下におけるFlap-endonuclease1のlong-patch塩基除去修復及びDNA複製フォーク伸長維持への働き。
*田野 恵三Paul D. Chastain II浅越 健二郎足立 典隆園田 英一朗永田 憲司小山 秀機Samuel H. Wilson武田 俊一渡邉 正己中村 純
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抄録
Flap endonuclease1(FEN1)は塩基除去修復(BER)におけるLong-Patch 修復(LP-BER)に関与していると考えられている。またDNA複製時のラギング鎖の複製にも寄与している。しかし脊椎動物生細胞においてFEN1がLP-BERにどの程度関与しているのかは明らかではない。我々は、トリDT40細胞のFEN1欠損細胞を用いて酸化ストレス下における酸化塩基損傷修復へFEN-1の役割について解析した。細胞抽出液を用いたin vitro 解析ではFEN1欠損株ではLP-BER活性の著しい減少が見られた。FEN1欠損株は過酸化水素に対して感受性を示し、過酸化水素処理3時間で速やかにアポトーシスに移行した。またこのアポトーシスはカスパーゼ阻害剤で抑制された。さらにMolecular Combing 法を用いたDNA fiberのIodo-dUとchloro-dUの免疫蛍光2重染色による解析から過酸化水素処理後にFEN1欠損細胞で複製の開始及び伸張の顕著に阻害が起こることを見いだした。以上の結果より、FEN1は酸化損傷のLP-BERに強く関与するとともに、LP-BER過程で生じる中間損傷であるdRP-Flap 構造による複製ファークの停止を避けることでカスペースに依存したアポトーシスを抑制していることが示唆された。
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© 2006 日本放射線影響学会
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